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The Most gorgeous Helen Keller

  アルフェージュ史上最も華やかな奇跡の人、かな?

長かった2014年度の「奇跡の人」も遂に幕が。
オトスクの公演と簗コミの公演が終了した。

簗コミ公演では、もう二度とやることはないと思って想いを込めて特にケラー氏を演じたつもり。

今まで5回、公演に参加した。気が付くと。
最初はほんのお手伝いのつもりだった。しかし、芝居というものはやり始めると色々やらないと済まなくなるものである。

今回は参加人数の多いことと魅力的な役者が多いことで第一回目の公演台本に原作からシーンやらセリフやらを引っ張ってきて大幅に脚本も見直した。

しかし、それにしても演出という仕事はいろいろと面倒なことが多い。特に本番前。役者たちの状態を始め、照明、効果、衣装、小道具などスタッフ全てに気を配らねばならない。
でもまあ、楽しいこともある。
いい音楽がいいタイミングで流れた瞬間。あるいは素敵な明かり(照明)を作ってもらって、それが芝居の時間の流れの中で形になる瞬間。今まで悩んでいた役者が何かのきっかけで生き生きと動き出した瞬間・・等々。

しかし、そんな、全てに気を配らねばならない演出と役者を兼ねるのは本当に大変だ。
芝居自体の総合的なレベルが、前回までより一段とアップした今回は特にそれを痛感した。

意識の次元が違うのだ。役者と演出では・・・。

役者は基本的に、まな板の上の鯉と言っていい。
舞台へと一歩踏みだした瞬間から、ドラマの流れに身を任せ、自分を解放する。
しかし演出は、ずっと舞台全体のことが気になっている。自己を解放できる瞬間は幕が降り、舞台が終わった、その時なのだ。
演出と役者を兼ねるとなると、自分の出番の直前に「演出」の意識を捨て、ドラマの流れに身を委ね、「役」に生きねばならない。
今回もオトスク公演までは「演出」の意識がどこかにあったかもしれない・・。


さて、話は変わるが、オトスクにはスタインウェイのピアノが置いてある。ちょっとクラシックに興味などある方はご存知だろう。名器といわれるピアノである。これを使わない手は無いだろう・・と話していたら、素晴らしい人に巡り逢うことが出来た。

場面の音楽に生ピアノ演奏をやっていただいた。井上さんだ。完璧なタイミングとまるで演じるように奏でられる彼女のピアノはもう一人の出演者として、感動を与えてくれた。


  (練習風景より)
  

さて、お待ちかね。出演してくれた役者たちについて語ろう。

オトスクでのサリヴァンは鬼気迫るものがあった。レミという役者と役がシンクロしているかのように自然に演じていたし、流れも、課題であった役としての呼吸もつかんでいた。
そう、彼女は自分の信じた道をひたすら登りつめて、とうとうサリヴァン先生という高みに達したのだ。

ヘレンを演じていた仁美は、パフォーマンス能力に秀でた子で、表情も豊かなので自然に人の視線を引きつける。食卓の場面で笑いが取れたのは彼女の演技力に負う所が大きい。

ケラー氏の妻、ケートを演じてくれた忍は、豊富な演劇経験を生かし期待通りの熟達した演技を見せてくれた。彼女はこのようなノーマルな役はあまり演じたことが無かったのではないかと思う。だからこそのキャスティングでもあったのだ。
 
ヘレンの腹違いの兄、ジェイムズを演じてくれたゆかりちゃんは、高校生ではあるが、「持っている」子である。へらへら笑っているかと思うと、はっとするような凄い表情を見せてくれたりする、今回一押しの役者である。彼女のために今回新しい場面を二つ追加したようなものだ。演じている時、彼女は紛れもないジェイムズであり、私も先妻の息子の父だった。

練習とは次元の違う、堂々とした演技を見せてくれたのがエブ伯母を演じてくれた千代子さんだ。心配されていた間もとても良かった。

「演劇部にありがちなセリフまわしの癖」が気になっていたのが盲学校の生徒とケラー家の使用人であるバティを演じた唯である。こう書くからには、もちろん彼女はそれを自然な形で克服し、彼女にしかできない可愛いバティを演じてくれたわけである。

今回、演技力という点で一番優れていたのは演出助手をやりながら生徒役とバーナ婦人のお茶のみ友達を演じてくれたりさかもしれない。
盲目の役というのは実は結構難しい。目を開いたまま暗闇にいる感覚を演じなければならないからである。それは三重苦であるヘレンにも通じることだが、彼女は実にさりげなく、五感を研ぎ澄ませた演技でそれを体現してくれた。
自分で脚本を書き、演出も出演もする高校三年生の彼女は進学してもきっと演劇を続ける事だろう。彼女の未来にエールを送りたい。

小学校3年のさやは色々なお稽古ごとで忙しい中、この芝居に参加してくれた。最初の頃の基礎稽古にもっと参加出来ていたら、もっと素晴らしい演技を見ることができただろう。

役者はどんな瞬間にも自分が真ん中にいなければならない。・・舞台の中心という意味ではない、たとえ脇役でも自分がそこでしっかりと生きている、という意味である。

で、練習の時からそれがぶれなかったのが原作には無い役、バーナ婦人を演じた月岡葵だ。彼女は舞台は初めてだったらしいが、何か演技中の彼女から目が離せないのだ。表現の幅がもう少し広がれば(それは役に付いてからでも遅くはないが)彼女はケートとかの役も出来る人だと思う。

そして、アナグノス校長の役はタウリン1000mgシアターの男優、Qちゃんに頼んだ。さすが我がタウリンの性格俳優。見事に味を出してくれた。今度はタウリンでやりましょう!

第一回から参加の綾さん、そして、医者役が堂に入っていた親方、澤井るあさん。お疲れ様でした。まあこの大人数、強烈な個性たち、いろいろと大変だったでしょう。
照明、朝妻さん。オトスクの照明はLEDで、しかも回路数と照明の本数が芝居をするには絶対的に少ない。LEDは三色をフルにあげると薄白い、のっぺりした光になってしまうのだ。それをこの方は見事に芝居の色にしてくれた。さすが舞台照明経験の豊かなプロです。

残念ながら、簗コミ公演の方ははドアが閉まっているとほとんど聞こえないので、見ることも出来ず、わからなかった。客席の反応からはかなり高いレベルで満足していただいたことは確か。ビデオが上がってくるのを楽しみにしよう。

さあて、そんな演劇ともしばらくはお別れだ。
芝居をやっていてインスパイアされたことはとても多い。もちろん今回も。

すべての出会いに感謝を込めて。

 
 

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