Taurin 1000mg Theater
 

第11回公演 さりげなく夏のキッチン 1984(昭和59年)8.4-5

  
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 <STORY>
 
それはそれは不思議な出来事だった。
 
夢とも現実(うつつ)ともつかぬ幻想の中で、島津美奈は魔法使いの老婆に出会った。
「娘よ、12時までには戻るのだぞ」
舞踏会に出かける美奈のあとを追って、数奇な運命が音もなく始まる。
 
「私は本当にシンデレラなのだろうか?」
奇妙なめぐりあわせは、予告された脚本どおり、確実に美奈をぐいぐいと引っぱってゆく。想像を絶する巨額の富を手にし、男が意のままにクルクルと動く。だが・・・。
 
「私は本当にシンデレラなのかしら?」
運命が彼女にほほえみ、そっぽを向き、そしてまた手をさしのべる。だれが味方でだれが敵かは見当もつかない。
 
謎の男、R・Sとはだれか?
彼女が忘れている過去とは何か?
 
「私はやっぱりシンデレラなんだわ!」
彼女がようやく、運命の大きな変化を悟ったとき、いちばん変わっていたのは、実は弱い弱い彼女自身の心だったのだ。
 
運命の朝、夏のキッチンには美奈ととの親友、倫子のそれぞれの旅立ちがあった。
 
   (当日パンフレットより)

しま工最初で最後のミュージカル物。

巨万の富を手にしたルル演じるヒロインに、何人もの男がプロポーズをする。
私は最初財産目当てで求婚したものの、オカマなのにヒロインを好きになってしまう役どころだった。
「イェーイ!大きな家小さな家ぐるっとまわってニャンコのネコメシ!」という、忌野清志郎もどきで登場するセリフをたった今、思い出してしまった。

1984年:グリコ・森永事件、新札発行(1万円が聖徳太子→諭吉に)


第12回公演 ビスケット氏の華麗なる生活 1985(昭和60年)5.4-6

  
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 <CAST>

島砂一馬…たまみ

岡野麻理…ちゅん
出小山警部…カンちゃん
長野婦警…タケル
駐 在…グー坊
老婆(クマ)…ハミ
老婆(トキ)…アイちゃん
O L…ほし
車 掌…Go°

 
 
夏 美…お市
警官A…あぶさん
警官B…きょん
売り子…シュミー
 
北条雅子…ルル
オタケさん…ミルミル
 
湯津上金太…ター坊

<STORY>
会津の里に育った島砂一馬(しますなかずま)湯津上金太(ゆづかみきんた)。まったく女性に相手にされない、特筆すべき暗い青春時代をおくった二人。彼らは女性への復讐を誓って、ともに大東京へと出立する。
 
そして10年   。ふたりは栃木県栗畑村に向かう車中で、運命的な再会をする。
 
だが、懐旧の情にかられながらもふたりの間には覆うべくもない壮大な隔壁が佇立(ちょりつ)していた。3年で夢破れ、故郷に帰った金太と、結婚詐欺師として27億円を騙し取り、かつての親友にさえ身を明かせぬ一馬、お互いの10年に思いを馳せ、ぎごちない時間が流れてゆく。
 
一馬には時間がなかった。2年前に出会った「理想の女性」岡野麻里(おかのまり)に求婚した彼は、結婚詐欺を完全にやめ、彼女と栗畑村で待ち合わせたうえ、新しい生活に旅立つという人生の岐路に立っていたのだ。女性への不信感から脱しきれず、かつ自らの素性を告白する苛酷さにさいなまれる一馬。果たして、非情なる前歴の中から、彼は"人生の幸福"をつかみ取ることができるのだろうか?
 
警察の捜査は、遅々と、だが確実に彼の周囲に迫る。
 
思いもかけぬ運命の糸が、一馬を破綻へと追い込んだ、まさにそのとき、確かに風化したはずの友情がゆっくりと頭をもたげ始めた…。
 
一馬と金太   。真に成功した人間とは、果たしてどちらだったのか。
 
 
一馬が、二度と訪れぬであろう村をあとにしたとき、峠のハルニレが晩春のにぶい光の中でキラッと光った……。

(当日パンフレットより)


この「ビスケット氏の華麗なる生活」は、エンターテイメント性ということから言えば、しゅん作の戯曲の中で最高傑作であると私は思う。

とにかく、面白い。理屈抜きに笑える。ワンシーン、ワンシーンがおかしく、そして、いとおしい。

再会を喜び合う一馬と金太の掛け合い、ビスケットを追い続ける出小山刑部と長野婦警の微笑ましいコンビ、途中で何故か登場する三浦先輩の「結婚なんてするもんじゃないぞ!」の(作者の実感のこもった?)長台詞、そしてビスケットがまさに結婚詐欺をしようとするシーン・・等々・・とにかくエンターテイメント性は抜群でした。

1985年:日本航空123便墜落事故、ビックリマンチョコ、うざったい、金妻(金曜日の妻たちへ)


第13回公演 時の化粧 1985(昭和60年)12.1(2回公演) 鹿沼文化センター

  
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 <CAST>
 
島本勘兵衛…たまみ
 
使者の女…タケル
老 婆…アイちゃん
島本由紀…ちゅん
若松みゆき…ほし
高倉健一…あぶさん


 
NHK集金人…やなっち
藤 原…ター坊
刑 事…幸田写民
 
島本詠子…ルル

しま工最初で最後の鹿沼公演。客集めに大変苦労する。宣伝カーで鹿沼の町を回ったりもした。だが結局は宇都宮のお客さんがほとんどだった。
内容は「夕立伝説」のリバイバル。
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前回チェリーとルルだったこの芝居、今回は私たまみとルルでした。
自分の演技は・・・うーん、ちょっと悔いが残るかな。同じ役をやって、チェリーはやっぱり喜劇は抜群だなあと思いました。


第14回公演 グリーン・グリーンチケット 1986(昭和61年)4.5-6

  
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 <CAST>
 
瀬島 圭…たまみ
瀬島加世子…タケル
 
三村専務…36
 男 …ター坊
 女 …ちゅん
 


 
岡 村…ルル
湯西川信子…アイちゃん
O L…みなみ
瀬島裕子…お市
 
千田曼陀羅…ミルミル

<STORY>
瀬島 圭・42歳。旧財閥系コンツェルンの傘下に勤める土地プランナー。それが彼の肩書きだ。
「典型的なマイホーム型」と自認する彼は、゛大過なく゛をモットーに入社し、仕事をし、課長の今日まで勤続してきた。
妻の加代子は、まさに彼のベターハーフとして、世間に注視し、常に゛中流を目指して家庭をリードしてきた。
そんな二人の前に立ちはだかったのが、栃気県の「生活レベルカード制」だ。
安定税収をはかる自治体は、県民を収入+生活レベルによって5段階に分け、レベル別に均一課税を実施することになったのだ。
いわずもがな、二人は゛中流゛の証し・グリーンカードを目指して悪戦苦闘するが…。

千田曼荼羅・42歳。ベンチャービジネスでの一発成功を企図して入社した瀬島の同期。「並」をめざす瀬島と、「上」を目指す千田は非常にウマの合う友であった。
が、企業の非情な論理は、いとも軽々と彼らに「訣別」のときを用意した…。

夫婦、家庭、職場、企業…さまざまな領域で、数々のエゴが織りなす人間模様。
たった三日間に繰り広げられた、夢色の運だめし。その立会人は、一度だけ願いがかなうという、「グリーン・グリーンチケット」だったのだ。今、あなたが持っているのと同じような…。

   (当日パンフレットより>

平日の昼間、たまたま瀬島が家にいる、というシーンがある。
「おい、今何時だ?」「静かだな・・・」のセリフが印象的である。
私とタケルが夫婦の役でした。
確か最後に36演じる同僚がグリーングリーンチケットに当選して腰が抜けるほどビックリするんだけど、体重48kgの彼の舞い踊るような驚きぶりが身内的には爆笑でした
非常にユニークな作品。この時期の戯曲は今にして思うがなかなか傑作揃いだ。

1986年:ハレー彗星地球接近、岡田有希子事件、ドラクエ、写ルンです


第15回記念公演 他人の結婚 1986(昭和61年)11.28-30 栃木会館小ホール

  
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 <STORY>

世の中には、なぜか売れ残ってしまう女性がいるらしい。美貌、性格、学歴、家柄…。
取り立てて見劣りするでもなく、気が付くと自分だけが大きく路線からはずれ…。

島霧直美もそのひとりだった。願い、焦り、絶望し…。ただ彼女が"一般"と違っていたのは、その結果「社会」に大きな恨みを抱いたことだ。

あれほど幸せの絶頂にいた新婚時代の友が時の波の中で洗い流されていく。結婚の社会的習俗、育児の半永久的煩雑さ、収入の限界、老親との折衝に時間的な制約。「こんなはずでは…。」友の狼狽の中で、直美は初めて笑った。「いい気味だわ…。」
 
「幸せへの旅立ち」=結婚。その結婚を「不幸への妥協」として、若者をその"不幸"へ追い立てる。これが彼女が結婚相談所を始めた契機・自分を見捨てた社会への復讐だったのだ。直美の復讐は着実に実を結び、多くのカップルが"不幸"へと旅立っていった。
 
だが、結婚願望と決別した直美も「恋」自体を捨てることはできず、5年来、妻子ある男、丸山友宏との関係を続けてきた。直美の仕事、友宏の家庭。この二つを最重視してきた関係は、誰気づくことなく、このまま続くかに見えたが…。
 
友宏の中で何かが変わり、直美の中で何かが生まれる。「38歳の恋とは…?」。
 
仕事、恋、結婚……。適齢男女のさまざまの思いをのせて、島霧ブライダルオフィスは新しい朝を迎える。


  

結婚相談所を開いているルル演じる独身のヒロイン(島霧直美)が、たまみ演じる不倫の相手と正式に結婚するために、期限までに100組のカップルを成立させなければならなくなる。そのために事務所に勤める前ちゃん、後(うしろ)君と一緒に頑張る話。
 
かなりテレビ的な場面展開のシナリオに当時の私は「こんなの芝居じゃねえよ」と内心では思っていた(当時の私は小劇場的な自由さこそが芝居の本分だと思っていたのだ)。が、入江ジャズダンススタジオの女性たちには非常に評判が良かった作品。
後に公演のビデオを見たら、ルルの演技はさすがにうまい!・・というか、すごい!と思った。もし彼女の主演作品の中で代表作を公正な目で選ぶとしたら、やはりこの「他人の結婚」ではないだろうか。
 
私はルル演じるヒロインの不倫の相手役で、バーのマスターに酔っぱらいながら男の本音を漏らすシーンは、演じていてとても充実感を感じていたのを思い出す。
 
この作品、全体の芝居の流れとか、キャラクター設定とか、とても良く出来ているし、すごいパワーを発しているなあ・・と今では素直に思います。
  
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  ↑クリックで「他人の結婚」フォトへ。



第16回公演 めんたいこホテル 1987(昭和62年)4.4-5

  
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<STORY>
島村魂造には3人の子どもがあった。
 
長女・悦子はすでに嫁し、大阪でコンピューター関係の会社を経営する佐久間の妻となっている。次女・沙也加は、仙台のとある大学の医学部に研究室助手として奉職中。そして3番目が待望の男子=有(ゆう)だった。有は現在、東京の区立中学校で教鞭をとっている。 すなわち、栃木県内に4つのホテルを持ち宇都宮に在住する魂造のもとには、ひとりの子も残っていないのが“今”だった。
 
そんな魂造に、”不治の病”の宣告がもたらされるところから、舞台は始まる。
 
有を産んでまもなく、死別を余儀なくされた妻・・・・・。 まさに裸一貫から、ようやく成功して経営する4つのホテル・・・・・。 性格がバラバラ、三者三様に長短所のはっきりした3人の子ども・・・・・。
 
混乱する思考の中で、魂造が辿りはじめたのは、紛れもなく≪誰に事業を継がせるか!?≫の一事だった・・・・・。
 
 
そんなさなか、東京の有のもとに突然の訃報がもたらされる。「父が・・・・・。」
 
同僚の女教師とともに、宇都宮に急行する有。だが、大阪からより、仙台からより、早く実家に到着したがために、有はたいへんな場面に遭遇してしまう。
 
その日から、有は「父」を追いはじめる。 父の過去、父の思惑、父の夢、父の本当の姿を   
 
次々に深まる謎、また謎。そして、有のもとに舞いこむ不思議な電話。さらに、出没する謎の男女。
 
果たして、有が追い求めた「父」とはなんだったのだろうか?そして父の死がもたらしたものはなんだったのだろう? 舞台は、1960~70年代の郷愁を背景に大きく展開していく・・・・・。
 
   (当日パンフレットより)

これも一連のユニークな作品群の一つ。冒頭の、ある女性からの間違い電話を主人公の島村有が受けるシーンから観客の目は主人公と同化する。
「めんたいこホテル」タイトルもうまいなあと思う。

1987年:地上げ屋、ボディコン、俳優・石原裕次郎が死去


第17回公演 その手は桑名の焼きハマグリ殺人事件         1988(昭和63年).4.1/2/3 栃木会館小ホール

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<STORY>
東京から、各駅停車で2時間。本田啓介はこの街に生まれ、この街で育ち、この街の警察署に奉職する刑事だ。
”都会志向”が並大抵でない彼は、警察署の要職にある叔父のつてで、密かに東京の警察庁への移動を工作している最中である。

遠島綾子は、高校卒業後、この街を出て、東京で事業をおこす。
いわゆる”裸一貫”から身を起こしたが、彼女は持ち前の才気と、”武器”を活用しながら、輸入雑貨の店を原宿、青山に開店した。
だが、3店めの銀座で大きな負債を抱え、すべては灰燼に帰す。
・・・もう東京には何もない・・・。そう思った時、彼女の足は郷里へと向いた。

FURUSATOを「捨てたい男」と「これから必要とする女」-その二人は、奇しくも同じ列車に乗り合わせ、恐ろしい運命の糸にぐいぐい引き寄せられていく。

一方、綾子には巧妙なワナがしくまれているのだが、「真実」は誰も知らない。
FURUSATOとは何か?
FURUSATOと、どうつきあうべきか?
大きな命題が、T県のT会館の中をゆっくりと流れていく・・・・。

   (当日パンフレットより)
 

啓介が綾子と下りの新幹線の中で偶然隣り合わせになる場面がやはりこの戯曲の代表的なシーンであろう。
この中途半端な街、「宇都宮」を啓介と綾子のやりとりを通して見事に描き出している。しま工芝居の代名詞的存在である「スライド」の使い方も面白い。

これは本格的推理劇、と言っていい作品だと思う。謎解きの中に"青函連絡船"が出てくるのも時代ですなあ。

1988年:青函連絡船終了、青函トンネル開通(3月13日)、瀬戸大橋開通、おたく族、オバタリアン



第18回公演 ワイン街道の一枚の写真
       1988(昭和63年)11.26/27 栃木会館小ホール

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<STORY> 平凡なOL生活を嫌って、島田恵は、輸入雑貨のフランチャイズ経営者へと転身した。
夢と刺激に満ちた新しい生活が始まる。
そんな折、同じフランチャイズの一経営者が謎の死を遂げる。
ひょんなことからフランチャイズの本社勤務へと栄進した恵は、いつの間にか大きな罠と殺人事件の渦中に落ち込んでゆく。
すべての事件を貫く、思いもよらぬ真実とは何だったのか…?

あらゆるミステリーと、どんでん返しの連続。観客が出演者と一緒に推理をしていく「100分推理ロマン」。

   (当日パンフレットより)

タケルの、謎解き女役としての初めての作品。私は悪役。いい人を装っているが・・・という役。悪役は楽しいのである。


第19回公演 鏡の国の十三夜
       1989(平成元年)4.21-23 栃木会館小ホール

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<STORY>
平成10年---。人々は、天災、戦乱、医療事故、犯罪予備軍に対して過敏となり、各都市には些細な異変でも作動するセキュリティーシステムが導入された。
安全で平穏な生活を希求するあまり、どのような兆候に対してもまずは”シェルター”への非難が義務づけられたのだ。

 小島祐子は3年前、その作品が高名な賞を受賞して文壇にデビューした小説家。
とはいえ、その後アイディアに恵まれず、次作に対する焦りはつのるばかり……。
苦悩ののち、彼女はある決心を胸にペンを執る。
 ところが、ようやく筆も進み、あと一息というときにとんでもないハプニングに見舞われてしまう。
危険に敏感すぎるセキュリティーシステムが彼女ら8人もの人間を、地下シェルターに閉じこめてしまったのだ。
ゆっくりと、だが確実に迫る死の影。極限状態に繰り広げられる人間模様‥‥。
情報も希望もなく、死と向かい合う長い時間の中で8人はいったい何を見たのだろうか。

 (当日パンフレットより)
       

しま工初、場面転換無しの一場面モノ!
私は2度目のオカマ役(笑)。
こんな近未来SFテイストな場面設定でも最後は謎解きで終わる所がしま工らしいところだ。
女流作家役のタケルは2回連続の謎解き女でした。
タケルは何故か謎解き女役が多い。・・と思っていたら、全体から見ればそうでもない。この時はたまたま続けてそうだったのでそういう印象が強くなってしまったのだろう。
まあ、はまり役なのかもしれないが。
この芝居も個人的には好きな方です。

(後日追記) "平成10年云々"とストーリーの説明にあるが、この年(1月8日から)が平成元年だったわけですねえ。
この舞台は一応主人公はタケル演じる小島祐子ということになっているが、一筋縄ではいかない様々な登場人物たちが織りなす人間模様が中核を成す、しま工としては画期的な芝居でした。平成になって初めてのしま工にふさわしいと言えるかもしれません。タイトルも格好良かったね。

1989年:大喪の礼、美空ひばり死去、ゲームボーイ発売開始、「幼女誘拐殺人事件」宮崎勤逮捕、


第20回記念公演 クリスマス・キャベツ 1989(平成元年)12.1-3

 
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 <STORY>
 
香田里奈が、松田からプロポーズされるところからドラマは始まる。何不足ない松田の求婚にとまどいを隠せない里奈。というのも、彼女には12年もつきあった男がいたのだ。
 
確かに結婚の約束はしていない。今がよければ・・・・という12年だった。
 
男はフリーアルバイターとして定職を持たず、"今流"に生きてきた。ひたすら「責任」から逃れ、流行の職業とレジャーのための勤労にいそしんできた。そして、里奈もまたそんな生き方に馴染んでいたはずなのに・・・・。
 
男からの旅立ち、そのとき、12年は重くのしかかる。
 
夫婦の共同生活とは何か?結婚という形態はいったい何なのか? 長い苦悩の中から、里奈は自分の道を思い決め、松田の申し出を受けるのだった。
 
そんな折、学生時代の全てが詰まった喫茶店で里奈は男と再会する。ある種の賭けに挑む里奈であったが、あの日と同じ音楽、あの日と同じ香りの中でも、二人の間にはどうしようもないゆるやかな時間だけが流れていくのだった・・・・。
 
男・島宮(とうみや)竜太郎は30回目のクリスマスを迎えようとしていた。  

(当日パンフレットより)


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島宮竜太郎の親友、ミルミル演じる静蟹四郎(しずかにしろう)。彼は勤めていた一流企業を辞め、ユニークな保険のセールス会社を興し、その会社に島宮を誘う。
最初は会社に就職することに難色を示していた島宮だったが、香田里奈とのある「約束」のためにも、親友と共に働くことを決意する。
そんな彼が慣れない営業職で失敗を重ねるごとに次第に何かをつかんでいく様子がこの芝居のもう一つの中核を成す。
 
"10thAnniversarry"10周年記念でもあるこの作品。良い意味でしま工の「王道を行く」と言ってもいいストーリー展開。今まで変化球を投げ続けていたしま工が久々にストレートボールで勝負した、とでも言おうか。クリスマスにふさわしい感動のラストシーン。実に「しま工」らしい作品だと思う。
 
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