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タウリン20XXは栃木県宇都宮市の劇団です。楽しい演劇、面白い芝居をお届けします。

しま演劇工房「発展期」前半 公演記録
 第11回公演~第15回公演まで


さて、いよいよ傑作揃いの「発展期」に突入する。

この時期になってくると、舞台転換などもかなりスムーズになり、各スタッフのスキルも向上し、「市民劇団」にふさわしい本格的な芝居となってくる。

そんな中でも「絶対的主人公」システムは継続するのだが、創世記ほどの偏りは見られず、登場人物もバラエティに富んでくる。
もう、「初雪織」や「家路」に見られたような「恋愛理想主義」の時代は終わりを告げ、男女関係もシニカルに描かれるようになってくる。

発展期前半では何と言っても私の一押しの「ビスケット氏の華麗なる生活」、ルル主演の最高傑作とも言える「他人の結婚」だろう。
あー、あの時に戻って、もっとちゃんと上手に演技したい!(当時は勿論一生懸命ではあったが)と私が思うのはこの辺の芝居である。


 

第11回公演 さりげなく夏のキッチン 1984(昭和59年)8.4-5 栃木会館大ホール

  
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<CAST>

島津美奈・・・・ルル

斜見仙作・・・・たまみ
岩田鉄男・・・・ター坊

老婆・・・・・ミルミル

栗原医師・・・・ハミ
看護婦・・・・くるみ

ボーイ(猿蔵)・・グー坊
召使い(こぶとりじいさん)?
 〃 (狼少年ケン)・・アイ
 〃 (送り狼)・・・Go°
 〃 (金太郎)・・・きょん
 〃 (八百屋)・・・やなっち
その他・・・チョイ役研究会

安井めぐみ・・・ちゅん
R・S・・・・・カン

佐山倫子・・・・タケル
     
    

<STORY>

それはそれは不思議な出来事だった。

夢とも現実(うつつ)ともつかぬ幻想の中で、島津美奈は魔法使いの老婆に出会った。
「娘よ、12時までには戻るのだぞ」
舞踏会に出かける美奈のあとを追って、数奇な運命が音もなく始まる。

「私は本当にシンデレラなのだろうか?」
奇妙なめぐりあわせは、予告された脚本どおり、確実に美奈をぐいぐいと引っぱってゆく。想像を絶する巨額の富を手にし、男が意のままにクルクルと動く。だが・・・。

「私は本当にシンデレラなのかしら?」
運命が彼女にほほえみ、そっぽを向き、そしてまた手をさしのべる。だれが味方でだれが敵かは見当もつかない。

謎の男、R・Sとはだれか?
彼女が忘れている過去とは何か?

「私はやっぱりシンデレラなんだわ!」
彼女がようやく、運命の大きな変化を悟ったとき、いちばん変わっていたのは、実は弱い弱い彼女自身の心だったのだ。

運命の朝、夏のキッチンには美奈ととの親友、倫子のそれぞれの旅立ちがあった。

(当日パンフレットより)

しま工最初で最後のミュージカル物。

巨万の富を手にしたルル演じるヒロインに、何人もの男がプロポーズをする。
私は最初財産目当てで求婚したものの、オカマなのにヒロインを好きになってしまう役どころだった。

「イェーイ!大きな家小さな家ぐるっとまわってニャンコのネコメシ!」という、忌野清志郎もどきで登場するセリフをたった今、思い出してしまった。

1984年:グリコ・森永事件、新札発行(1万円が聖徳太子→諭吉に)

 

第12回公演 ビスケット氏の華麗なる生活 1985(昭和60年)5.4-6


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<CAST>

島砂一馬…たまみ

岡野麻理…ちゅん
出小山警部…カンちゃん
長野婦警…タケル
駐 在…グー坊
老婆(クマ)…ハミ
老婆(トキ)…アイちゃん
O L…ほし
車 掌…Go°


夏 美…お市
警官A…あぶさん
警官B…きょん
売り子…シュミー

北条雅子…ルル
オタケさん…ミルミル

湯津上金太…ター坊
<STORY>
会津の里に育った島砂一馬(しますなかずま)湯津上金太(ゆづかみきんた)。まったく女性に相手にされない、特筆すべき暗い青春時代をおくった二人。彼らは女性への復讐を誓って、ともに大東京へと出立する。

そして10年   。ふたりは栃木県栗畑村に向かう車中で、運命的な再会をする。

だが、懐旧の情にかられながらもふたりの間には覆うべくもない壮大な隔壁が佇立(ちょりつ)していた。3年で夢破れ、故郷に帰った金太と、結婚詐欺師として27億円を騙し取り、かつての親友にさえ身を明かせぬ一馬、お互いの10年に思いを馳せ、ぎごちない時間が流れてゆく。

一馬には時間がなかった。2年前に出会った「理想の女性」岡野麻里(おかのまり)に求婚した彼は、結婚詐欺を完全にやめ、彼女と栗畑村で待ち合わせたうえ、新しい生活に旅立つという人生の岐路に立っていたのだ。女性への不信感から脱しきれず、かつ自らの素性を告白する苛酷さにさいなまれる一馬。果たして、非情なる前歴の中から、彼は"人生の幸福"をつかみ取ることができるのだろうか?

警察の捜査は、遅々と、だが確実に彼の周囲に迫る。

思いもかけぬ運命の糸が、一馬を破綻へと追い込んだ、まさにそのとき、確かに風化したはずの友情がゆっくりと頭をもたげ始めた…。

一馬と金太   。真に成功した人間とは、果たしてどちらだったのか。


一馬が、二度と訪れぬであろう村をあとにしたとき、峠のハルニレが晩春のにぶい光の中でキラッと光った……。

(当日パンフレットより)

この「ビスケット氏の華麗なる生活」は、エンターテイメント性ということから言えば、しゅん作の戯曲の中で最高傑作であると私は思う。

とにかく、面白い。理屈抜きに笑える。ワンシーン、ワンシーンがおかしく、そして、いとおしい。

再会を喜び合う一馬と金太の掛け合い、ビスケットを追い続ける出小山刑部と長野婦警の微笑ましいコンビ、途中で何故か登場する三浦先輩の「結婚なんてするもんじゃないぞ!」の(作者の実感のこもった?)長台詞、そしてビスケットがまさに結婚詐欺をしようとするシーン・・等々・・とにかくエンターテイメント性は抜群でした。

1985年:日本航空123便墜落事故、ビックリマンチョコ、うざったい、金妻(金曜日の妻たちへ)

 

第13回公演 時の化粧 1985(昭和60年)12.1(2回公演) 鹿沼文化センター

  
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 <CAST>
 
島本勘兵衛…たまみ

使者の女…タケル
老 婆…アイちゃん
島本由紀…ちゅん
若松みゆき…ほし
高倉健一…あぶさん

NHK集金人…やなっち
藤 原…ター坊
刑 事…幸田写民

島本詠子…ルル

初冬の鹿沼。島本勘兵衛は、実家に母を訪ね、愛児・由紀を託していく。彼は、ふとしたことから"犯罪"をおかし、警察に追われる身となったのだ。

明日知れぬ我が身を憂い、すべての職を辞し我が子を手放し、青山のマンションに閉じこもる勘兵衛。3年という時効が重く彼にのしかかる。

夫にかわり、コピーライターとして世に出、成功した妻・詠子。誠実で貞淑な彼女は、隠遁する夫のためにつくすが、彼女の中に見知らぬ何かが醸成されはじめていることは、彼女自身気づかない。

いよいよ時効の成立を明日にひかえたある日、島本家に不思議な使者が訪れる。"隠れ里”より来たという使者は、娘・由紀が鹿沼より出奔し、”隠れ里”へ迷い込んだと告げる。近々、門を閉ざす”隠れ里”から娘を連れ戻すよう要請する使者。外出できない勘兵衛は我が身と娘の板ばさみで苦悩したすえ、ついに”隠れ里”の入り口へと向かう。

夕やみ迫る森。勘兵衛、詠子の前で”隠れ里”の扉がゆっくりと開く。
”あの向こうに由紀が・・・・!?”

勘兵衛の行く手に待ち受けていたものは何か?物語は、思いのよらぬ結末へと、”運命どおりに”惹かれていくのだった・・・・・。

しま工最初で最後の鹿沼公演。客集めに大変苦労する。宣伝カーで鹿沼の町を回ったりもした。だが結局は宇都宮のお客さんがほとんどだった。 内容は「夕立伝説」のリバイバル。

前回チェリーとルルだったこの芝居、今回は私たまみとルルでした。
自分の演技は・・・うーん、ちょっと悔いが残るかな。同じ役をやって、チェリーはやっぱり喜劇は抜群だなあと思いました。


 

第14回公演 グリーン・グリーンチケット 1986(昭和61年)4.5-6


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 <CAST>

瀬島 圭…たまみ
瀬島加世子…タケル

三村専務…36
男 …ター坊
女 …ちゅん

岡 村…ルル

湯西川信子…アイちゃん
O L…みなみ
瀬島裕子…お市

千田曼陀羅…ミルミル

<STORY>
瀬島 圭・42歳。旧財閥系コンツェルンの傘下に勤める土地プランナー。それが彼の肩書きだ。
「典型的なマイホーム型」と自認する彼は、゛大過なく゛をモットーに入社し、仕事をし、課長の今日まで勤続してきた。
妻の加代子は、まさに彼のベターハーフとして、世間に注視し、常に゛中流を目指して家庭をリードしてきた。
そんな二人の前に立ちはだかったのが、栃気県の「生活レベルカード制」だ。
安定税収をはかる自治体は、県民を収入+生活レベルによって5段階に分け、レベル別に均一課税を実施することになったのだ。
いわずもがな、二人は゛中流゛の証し・グリーンカードを目指して悪戦苦闘するが…。

千田曼荼羅・42歳。ベンチャービジネスでの一発成功を企図して入社した瀬島の同期。「並」をめざす瀬島と、「上」を目指す千田は非常にウマの合う友であった。
が、企業の非情な論理は、いとも軽々と彼らに「訣別」のときを用意した…。

夫婦、家庭、職場、企業…さまざまな領域で、数々のエゴが織りなす人間模様。
たった三日間に繰り広げられた、夢色の運だめし。その立会人は、一度だけ願いがかなうという、「グリーン・グリーンチケット」だったのだ。今、あなたが持っているのと同じような…。

(当日パンフレットより)
 

平日の昼間、たまたま瀬島が家にいる、というシーンがある。
「おい、今何時だ?」「静かだな・・・」のセリフが印象的である。
私とタケルが夫婦の役でした。
確か最後に36演じる同僚がグリーングリーンチケットに当選して腰が抜けるほどビックリするんだけど、体重48kgの彼の舞い踊るような驚きぶりが身内的には爆笑でした
非常にユニークな作品。この時期の戯曲は今にして思うがなかなか傑作揃いだ。

1986年:ハレー彗星地球接近、岡田有希子事件、ドラクエ、写ルンです

 

第15回記念公演 他人の結婚 1986(昭和61年)11.28-30 栃木会館小ホール


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 <CAST>

島霧直美・・・ルル

 前ちゃん・・・タケル
 後ろくん・・・ミルミル
 
 マスター・・・しゅん
 
 丸山友宏・・・たまみ
 
 ※他キャスト調査中です
  

 <STORY>

世の中には、なぜか売れ残ってしまう女性がいるらしい。美貌、性格、学歴、家柄…。
取り立てて見劣りするでもなく、気が付くと自分だけが大きく路線からはずれ…。

島霧直美もそのひとりだった。願い、焦り、絶望し…。ただ彼女が"一般"と違っていたのは、その結果「社会」に大きな恨みを抱いたことだ。

あれほど幸せの絶頂にいた新婚時代の友が時の波の中で洗い流されていく。結婚の社会的習俗、育児の半永久的煩雑さ、収入の限界、老親との折衝に時間的な制約。「こんなはずでは…。」友の狼狽の中で、直美は初めて笑った。「いい気味だわ…。」

「幸せへの旅立ち」=結婚。その結婚を「不幸への妥協」として、若者をその"不幸"へ追い立てる。これが彼女が結婚相談所を始めた契機・自分を見捨てた社会への復讐だったのだ。直美の復讐は着実に実を結び、多くのカップルが"不幸"へと旅立っていった。

だが、結婚願望と決別した直美も「恋」自体を捨てることはできず、5年来、妻子ある男、丸山友宏との関係を続けてきた。直美の仕事、友宏の家庭。この二つを最重視してきた関係は、誰気づくことなく、このまま続くかに見えたが…。

友宏の中で何かが変わり、直美の中で何かが生まれる。「38歳の恋とは…?」。

仕事、恋、結婚……。適齢男女のさまざまの思いをのせて、島霧ブライダルオフィスは新しい朝を迎える。

結婚相談所を開いているルル演じる独身のヒロイン(島霧直美)が、たまみ演じる不倫の相手と正式に結婚するために、期限までに100組のカップルを成立させなければならなくなる。そのために事務所に勤める前ちゃん、後(うしろ)君と一緒に不可能と思えるプロジェクトに挑戦する。

かなりテレビ的な場面展開のシナリオに当時の私は「こんなの芝居じゃねえよ」と内心では思っていた(当時の私は小劇場的な自由さこそが芝居の本分だと思っていたのだ)。が、入江ジャズダンススタジオの女性たちには非常に評判が良かった作品。
後に公演のビデオを見たら、ルルの演技はさすがにうまい!・・というか、すごい!と思った。もし彼女の主演作品の中で代表作を公正な目で選ぶとしたら、やはりこの「他人の結婚」ではないだろうか。

私はルル演じるヒロインの不倫の相手役で、バーのマスターに酔っぱらいながら男の本音を漏らすシーンは、演じていてとても充実感を感じていたのを思い出す。

この作品、全体の芝居の流れとか、キャラクター設定とか、とても良く出来ているし、すごいパワーを発しているなあ・・と今では素直に思います。

 
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