10年前にしま工のことを

10年前にしま工の事を書こうと思ったときは、この劇団(しま演劇工房)のことを斜に構えて見ていた。タウリン1000mgシアターでは、自分のやりたい芝居に近いものがやれていたし、しま工をやっている時には、いつも「こんなの芝居じゃない」と、いつもどこかで思っていて、またそれがタウリンをやるエネルギーになっていたような所はある。

しかし・・今は「しま工」もありだな、というか、結構すごいことやっていたんだな、と思う。

地元に根付いた芝居で、しかもエンターテイメント性を備えている。ストーリーがはっきりしていてわかりやすい。

第2回公演、「初雪織」にこんなセリフがある。「人生という大きな海に乗り出していく船・・・それが男です。そしてその船が傷ついて戻ってくる港・・・これが女です。愛の世界で女は会いに生き抜く、どんな女でも最後まで愛を信じる・・・なぜなら女は、愛以外の仕事はすべて本職ではないからです。」私が演じたスーパー弁護士、二階堂俊のセリフだ。

今この芝居をしたらこのセリフに反感持つ女性は多いかもしれない。当時だって宇都宮の地方芝居だからこそ言えるセリフだったかもしれない。言わされている私も「こんなの芝居じゃねえよ」と思っていた。

でも、この偏見、決めつけ、思いこみ・・・今見ると何かスカッとする。変な平等意識がまかり通っている今の世の中だからこそ、かもしれない。(それにしても小学校で男でも女でも"さん"付けで呼ばせるの、やめない?)

昔の戯曲を手に取る機会があり、読み直し、舞台を思い出し、「けっこうやるじゃん!やってくれてたじゃん!」・・・そう思って私は今「しま演劇工房」の歴史を辿りなおしているわけです。

2012.3.4